2018 年 58 巻 8 号 p. 715-719
腎移植患者において, 免疫抑制剤の良好な服薬アドヒアランスは, 移植腎機能の維持のために不可欠である. しかし, アドヒアランス不良は多くの患者にみられ, その実態を医療者が十分認識できていないという問題もある. アドヒアランス不良には, うつをはじめとするメンタルヘルスの問題, 薬の副作用や服薬回数, 医療者と患者の関係などさまざまな要因が関与する. 特にうつの合併は, 免疫抑制剤の服用だけでなく, 運動や食生活を含むさまざまな健康行動への動機づけの低下などから, 移植腎機能の廃絶や死亡リスクとの関連が指摘されている. 情報提供などの教育的な内容と行動面の支援の双方を含むことが, 免疫抑制剤のアドヒアランス改善を目的とする介入で, より効果を示している.