2020 年 60 巻 2 号 p. 155-161
サイコネフロロジーとは腎臓病学と心身医学・精神医学・心理学・看護学などとの共通する部分を扱う学問である. サイコネフロロジーで扱う領域は①慢性腎臓病患者の精神的ケア, ②腎代替療法に関わるスタッフのメンタルヘルス, ③慢性腎臓病患者の腎代替療法に関わる意思決定支援, ④非がん患者の緩和ケア, ⑤精神疾患や精神症状をもつ慢性腎臓病患者の診療などがある. 慢性腎臓病は, その経過に心理社会的な因子が強く関連する心身症としての側面をもち, 心身医学的アプローチが有用である. 慢性腎臓病患者が腎代替療法に至る背景には 「対象喪失」 の心理がある. さらには抑うつや不安, 治療のノンアドヒアランスなどに至ることもあり, 慢性腎臓病の診療全体を通じて継続した関わりができる心療内科医の存在が, 今後ますます期待される.