心身医学
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特集 心因性発熱,機能性高体温症の基礎と臨床アップデート
褐色脂肪組織による熱産生と体温・体脂肪調節
—ヒトでの知見を中心に—
斉藤 昌之
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2020 年 60 巻 3 号 p. 210-216

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抄録

ヒトを含めて哺乳動物には白色と褐色の2種類の脂肪組織が存在する. 白色脂肪がエネルギーを中性脂肪として蓄積し飢餓への備えをするのに対して, 褐色脂肪は脂肪エネルギーを熱に変換する代謝性の非ふるえ熱産生の特異的部位であり, 寒冷環境下での体温維持や, 感染・炎症時の発熱やストレス性高体温に関与している. さらに, 褐色脂肪は体温のみならず全身エネルギー消費や体脂肪の調節にも寄与するので, 抗肥満ターゲットの1つとしても注目されている. 最近, がんの画像診断法であるFDG-PETを利用してヒトの褐色脂肪を評価する手法が開発され, 多くの知見が集積されつつある. 本稿では, 健常成人の褐色脂肪について, 体温や体脂肪調節における役割を中心に紹介する.

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© 2020 一般社団法人 日本心身医学会
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