現在のところ, 多彩な様相を呈する機能性消化管障害 (functional gastrointestinal disorders : FGID) を克服するための十分な臨床的知識が蓄積されるまでには至っていない. 早期因子あるいは現在の心理社会的背景としての環境要因がFGIDに認められる脳腸相関の病態に大きく関わっていると推測されている. 異なる国家や文化圏の特徴を比較する異文化比較研究がFGIDの病態の解明に役立つものと期待されている. FGIDの国際的学術交流を推進するためには, はじめにわが国における社会文化的な視点を含めた実情をよく理解することが重要である.