2021 年 61 巻 8 号 p. 689-693
科学における再現性の危機に対して,Goodmanらによる方法・結果・推論の再現可能性の観点から,問題点と解決法について整理した.再現可能性問題への解決法としては,仮説検証を適切に行うために研究者の自由度を低める事前登録,データ・解析コード・マテリアルなどを公開するオープンサイエンス実践がある.本稿では,これらの研究実践が『BioPsychoSocial Medicine』誌においてどの程度行われているか調査を行った.その結果,臨床試験は事前登録されているが,それ以外の研究デザインでは少ないこと,データやコードを外部リポジトリや雑誌サイトで公開することは少ないことが示された.オープンサイエンス実践は研究公正に必要であり,今後の普及が期待される.