気管支喘息(喘息)と慢性閉塞性肺疾患(COPD)は呼吸器心身症であり,身体的因子の疾患への影響が大きい場合,まずは「身から心へ」の心身医学的アプローチが必要である.喘息の心身相関において,特に難治性重症喘息患者については,身体的治療の強化が心理的安定につながり,ひいては慢性のストレス反応を軽減するものと思われる.気管支サーモプラスティ治療・分子標的薬治療は,重症喘息において抑うつ・QOLを改善する効果がみられている.しかし,それぞれ侵襲的治療,あるいは長期間の高額治療を余儀なくされるため,今後,心理社会的側面への負荷についての評価が必要かつ重要になると考えられる.
COPDに併存した抑うつに対する治療として,吸入薬使用とともに呼吸リハビリテーションも含む全人的ケアが重要である.心身医学的アプローチにおいて,身体症状が強い場合には,心理的アプローチによる介入がすぐには難しいことがありうる.その際,「身→心」というアプローチが効を奏する可能性がある.