心身医学
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特別講演
政策・行政への心身医学の実践
鴨下 一郎
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2023 年 63 巻 6 号 p. 499-506

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抄録

医療現場での実践と政治家としての経験から,心身医学が政策・行政に何を働きかけて,何ができたのかを紹介した.具体例として,心療内科が標榜科目になったこと,過労死や児童虐待への対策,公認心理師の国家資格化などを取り上げた.今日的な問題としては,ルッキズムと摂食障害,働き方改革,テレワークについて言及した.続いて,心身医学のデジタル化を取り上げ,デジタル化が進むことによる治療の可能性を紹介した.例えば,アプリなどが充実することで,患者自身のモニタリングが容易となり,行動変容が促される.また,デジタル化が加速することが,実は,孤立・孤独対策にも好影響を与える可能性を述べた.

最後に,心身医学の立場から人が暮らしやすい環境として「コンパクトシティ」の実現を提案した.ほどよい規模の都市で,テレワークを活用しながら,自己実現を図る.そのような町づくりに,心身医学の知見を反映させるのが重要であると結論づけた.

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© 2023 一般社団法人 日本心身医学会
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