論文ID: 2023010
外陰痛の中には治療が困難な例がみられる.今回われわれは,自律訓練法(Autogenic Training:AT)が,その後の支持的心理療法への動機づけとなった外陰痛の患者2例について報告する.2症例ともに初診時は,不安や不信感,怒りなどさまざまな負の感情を表出し,治療者に対して否定的な態度であった.しかし初回にATを実施し,痛みが軽減した後の患者の治療者に対する発言や態度は,肯定的な様子に変化した.その後来院ごとにATと支持的心理療法を行い,現在は症状が緩和している.今回の2症例は,ATによって,その後の支持的心理療法を行うことができた症例といえる.