1998 年 11 巻 1 号 p. 103-107
アミノ酸の経静脈投与は輸入および輸出細動脈を拡張し,糸球体血漿流量および糸球体濾過率を増加させるため,その前後で腎機能を測定することにより,腎の予備能力を評価することができる。今回われわれは,各種腎疾患患児にアミノ酸経静脈投与による負荷を行い,その前後でCcrを測定し,得られた成績について検討した。その結果,負荷前Ccr値が低値でかつCcr増加率も低値の第I群,負荷前Ccr値が正常でかつCcr増加率も高値の第II群,負荷前Ccr値が正常であるがCcr増加率が低値の第III群の3群に分類できた。第I群のようなCcrが50ml/min/1.73m2以下の症例では,負荷によるCcrの増加がみられず,腎予備能がほとんど枯渇していると考えられた。また,本検査は腎機能が正常の例から,第III群のような見かけ上正常腎機能を示すものの腎予備能が低下している症例を鑑別するのに有用であると考えられた。