日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
若年で透析導入された末期腎不全症例の長期予後とQOL
水野 愛子
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キーワード: 腎不全, 透析, 腎移植, 予後
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1998 年 11 巻 1 号 p. 97-102

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抄録
 小児期・青年期に透析導入された末期腎不全患者31例 (男20例,女11例) の長期予後 (観察期間: 1.2~21.6年,平均9.5±5.5年) と患者のQOLを検討した。
 原疾患は先天性疾患が61.3% (19例) で,患者年齢は透析導入時6~22歳 (平均14.4歳),現在12~36歳 (平均23.7歳) である。20例 (64.5%) が導入後0.5~5.8年 (平均2.6年) で腎移植 (生体11,死体9) に移行し (移植群),15例 (75%) で生着している。死亡例は移植群2例 (10%) と非移植群2例 (18.2%) で,死亡率に2群の差はなかった。
 19例からのアンケート回答から,透析群に比し移植群では低身長,体力や体調および治療への不満足例が少なく,就労率が高い傾向があること,結婚し子供をもつ3例が移植群であることなど,腎移植によるQOLの向上が示唆された。また,腎移植に対する十分な情報提供,薬物副作用の軽減,就職難の改善などの要望があげられた。
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© 1998 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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