日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
新生児期尿濃縮機構における腎髄質対向流増幅系の質的機構転換の証明
劉 文森本 哲司根東 義明永野 千代子長田 道夫内田 信一大沼 祥子飯沼 一宇
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1999 年 12 巻 2 号 p. 109-111

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抄録

 ヘンレの上行脚は,腎髄質部内層の高い浸透圧勾配を維持し,尿濃縮機構を支える上で,重要な役割を果たしている。上行脚には太い部位と細い部位があり,そのイオン輸送機構はまったく異なっている。最近,新生児ラット腎において,ヘンレループの細い上行脚が生後1週間のうちにその形態を大きく変化させることが明らかとなり,尿濃縮能の成熟過程と機能的に何らかの関連を持つのではないかと考えられるようになった。そこで,我々はこのヘンレの細い上行脚の新生児ラットにおける機能の経時的推移を検討した。この結果,生直後のヘンレの細い上行脚に,成熟動物では見られない能動輸送によると考えられる経上皮電位が存在することを見出し,日齢とともに消失していくことを証明した。また,蛍光免疫組織染色学的手法を用いて,各種イオン輸送体の分布を検討し,新生児ラットの乳頭部では,rBSC-1が染色され,成熟ラットでは逆にClC-K1のみが染色されていることを証明した。

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© 1999 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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