日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
ラット半月体形成性腎炎モデルにおけるマクロファージの役割
磯目 正人山本 格Adhikary L. P.矢尾板 永信川崎 克俊竹石 利之内藤 眞鈴木 仁木原 達
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1999 年 12 巻 2 号 p. 113-117

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抄録

 WKYラットの抗糸球体基底膜抗体型腎炎は糸球体へのCD8陽性リンパ球 (CD8+Ly) とマクロファージ (Mφ) の集積および半月体形成を特徴としている。この腎炎で,CD8Lyに対するモノクロナール抗体を投与し,CD8Lyを枯渇させると,蛋白尿の出現や半月体形成が抑制され,CD8+Lyが,この腎炎モデルの発症,進展において重要な役割を演じていることが明らかになっている。しかし,CD8+Lyよりも多く糸球体に集積しているMφの役割については明らかではない。そこで,Mφを枯渇する目的で,クロドロネート封入リポソームを腎炎発症後3日目から7日目までラットに投与した。8日目の腎組織で糸球体Mφ数を検討したところ,ほぼ完全に枯渇していた。同時に,蛋白尿や管外性病変の形成率も抑制されていた。また,興味深いことにCD8+Lyの糸球体内浸潤も抑制されていた。一方,ICAM-1とMCP-1の糸球体mRNA発現もMφの枯渇により減少していた。以上から,ラット半月体形成性腎炎の進展において,Mφは半月体形成およびCD8+Lyの糸球体への集積に関与していると考えられた。

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© 1999 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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