1999 年 12 巻 2 号 p. 149-153
巣状糸球体硬化症 (focal glomerular sclerosis; FGS) による慢性腎不全のため自動腹膜透析を施行中にAlcaligenes xylosoxidans単独感染による汎発性腹膜炎を合併した症例を経験した。各種抗生剤の腹腔内,経静脈,経口投与によってもCAPD排液中の細胞数が減少せず,原因菌が排液,チューブ出口部から検出され続けた。CAPDチューブ入れ換え術により腹膜炎は軽快した。CAPDチューブ先端およびチタニウムアダプタとの接続部にバイオフィルムを確認した。腹膜透析中の腹膜炎に対する内科的治療が奏効せず,バイオフィルムの存在が予測された場合には,早期にCAPDチューブ入れ換え術を考慮すべきだと考えられる。