日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
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原著
十全大補湯によって好中球の増多が得られたループス腎炎の1症例
—cyclophosphamide大量静注療法時の有用性について—
辻 祐一郎澤田 まどか阿部 祥英久野 正貴高柳 隆章近岡 弘飯倉 洋治内田 雄三酒井 糾
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1999 年 12 巻 2 号 p. 155-158

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抄録

 汎血球減少をきたしていたSLE (Systemic lupus erythematosus) 患児に,十全大補湯を投与し,有意の好中球の増多が得られ,cyclophosphamide (CP) の投与による好中球の減少も軽減できた症例を経験したので報告する。患児は12歳の女児で,腎生検の結果はWHO分類IVbであった。2mg/kg/dayのpredonisolone (PSL) の内服治療を開始したが,17.5mg/dayまで減量した際に再燃を認めた。そこで,CPの大量静注療法を施行した。患児は入院時より,汎血球減少があり,CP大量静注療法にて好中球が一時約300/μlにまで低下した。このため,2回目のCP大量静注療法前から,好中球の増多を目的として,十全大補湯を投与した。その結果,有意の好中球の上昇を認め,CP大量静注療法による好中球減少も軽度にとどめることができた。よって,SLE患児の好中球減少やCP大量静注療法時の好中球減少軽減に十全大補湯は有用であると考えられたため報告する。

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© 1999 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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