日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
シクロスポリン (CyA) 内服中に起こったposterior reversible encephalopathy syndrome (PRES) の1例
松永 明椎原 隆木村 敏之早坂 清
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2002 年 15 巻 2 号 p. 95-98

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抄録
 近年シクロスポリン (CyA) は,難治性ネフローゼ症候群へ広く用いられているが,一方でさまざまな副作用が報告されており,Posterior reversibel encephalopathy syndrome (PRES) は,CyAの注目すべき副作用のうちの一つである。
 今回,我々はCyAの投与によりPRESを発症したネフローゼ症候群の一男児例を経験した。症例は9歳5ヵ月の頻回再発型ネフローゼ症候群の男児で,6回目の再発に際し経口ステロイドにCyAを併用した。CyA投与後11日目に頭痛,嘔吐,痙攣発作を来たし,当科に入院したが臨床症状は発症当日のうちに無治療で消失した。CyAによる神経障害を考え,同薬剤を中止した。入院翌日に施行した頭部MRIで右頭頂葉から後頭葉に異常所見を認めたが21日後には消失し,PRESと診断した。本症例では,拡張期の高血圧と血清マグネシウムの低下が確認され,PRES発症への関与が考えられた。
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© 2002 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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