カフ出し術は侵襲が少なく,入院期間も短く,カテーテル入れ換えの回数を少なくできるという点で入れ換え術に比べ優れていると考えられる。しかし,カフ出し術に関してはその効果においてまだ確立した知見は得られていない。
カフ出し術の有効性を評価するために,トンネル感染に対して入れ換え術を行った入れ換え群,カフ出し術を行ったカフ出し群の2群に分け,術後の次のトンネル感染までの期間を全体,および起因菌別に生存曲線を用いて比較検討した。また,両群の術後のトンネル感染が原因の腹膜炎罹患率に関しても検討を加えた。
結果は,入れ換え群とカフ出し群では有意な差は認められず(p=0.1464),グラム陰性桿菌についても成績は悪くなかった。カフ出し群の再発率も低く,術後の腹膜炎罹患率も有意差はなかった。
以上より、カフ出し術はトンネル感染に対して有効な治療法であり,トンネル感染の際にまず検討すべき治療法であると考えた。