2005 年 18 巻 1 号 p. 15-20
造影剤による急性腎不全は造影剤腎症と呼ばれ,急性腎不全の原因として臨床的に重要である。特に腎機能障害や糖尿病といった危険因子を有する患者では高率に発症する。今回我々は全身型若年性特発性関節炎の経過中,既存の腎障害はなかったにもかかわらず造影剤投与が誘因となり急性腎不全をきたし血液透析を要した一例を経験した。患児は敗血症,DIC,エンドトキシン血症を合併していた。したがって,たとえ血清クレアチニン値が正常でも,敗血症やエンドトキシン血症などで腎予備機能の低下が疑われる例での造影剤の使用にあたっては十分な注意が必要と思われた。