2005 年 18 巻 2 号 p. 111-115
症例は,19歳男子。12歳時〔体重69.0kg,体容量指数body mass index (BMI)28.3kg/m3〕に初めて蛋白尿を指摘された。2歳より,伊藤白斑,精神発達遅滞,症候性局在関連癲癇にて治療経過観察中であった。16歳時(体重98.0kg,BMI36.9),血圧144/88mmHg,蛋白尿1.5g/日であり,angiotensin-converting enzyme(ACE) 阻害薬(リシノプリル)投与を開始した。肥満に対しては,減量を指導したが体重は増加傾向であった。18歳時(体重107.7kg,BMI40.0),蛋白尿3.9g/日となり,腎生検を施行したところ,糸球体の肥大と分節性硬化を認め肥満関連巣状分節性糸球体硬化症と診断した。現在,運動療法と体重減量の指導を徹底し,ACE阻害薬の内服で経過観察中である。最近,成人では肥満関連腎症の報告が散見されるが,本邦で小児期発症例の報告は少なく貴重な症例と考えられたため報告する。