抄録
腹痛,下痢症状により発症した急性巣状細菌性腎炎 (Acute focal bacterial nephritis: AFBN) の6歳,男児例を報告する。発熱,腹痛,下痢にて発症し,入院時の腹部エコー検査での左腎の腫大および上,下極に皮髄境界不明瞭な腫瘤陰影および腹部造影CTにて同部位の非造影領域を確認しAFBNと確定診断した。入院後,抗生剤治療を開始し,症状は速やかに改善し後遺症を残すことなく退院した。治療経過中,左腎腫瘤陰影は腫瘤陰影の縮小とともに高エコー輝度より低エコー輝度へと変化した。AFBNの腎エコーでの腫瘤陰影は高エコー輝度,低エコー輝度を呈する報告などさまざまであるが,本症例の解析よりエコー輝度の多様性はその病期に依存する可能性が考えられた。