日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
チロシンリン酸化による糸球体上皮細胞 (ポドサイト) 機能の制御
服部 成介
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2009 年 22 巻 2 号 p. 152-160

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抄録

 腎臓糸球体上皮細胞 (ポドサイト) スリット膜は,濾過機能の本体を担い,その構成成分の遺伝子異常は家族性ネフローゼ症候群の原因となる。近年,スリット膜構成因子がチロシンリン酸化によりダイナミックな制御を受けることが判明した。われわれは,スリット膜構成因子Neph1およびNephrinにリン酸化に依存して結合する因子を解析し,Neph1にはGrb2およびCSKが結合すること見いだした。Grb2のNeph1への結合はERK活性化を抑制する。Nephrinには既知のNckの他にさまざまな因子が結合し,PLC-γを介して細胞内カルシウムの調節を行う。PLC-γはTRPC6チャネルを活性化するのに対し,NephrinはTRPC6に対して抑制的であるが,家族性巣状糸球体硬化症でみられるTRPC6変異はNephrinによる制御から逸脱していた。スリット膜構成因子のリン酸化はFynによるリン酸化と脱リン酸化のバランスの上に成り立っており,そのバランスの破綻はネフローゼの原因になると考えられる。

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© 2009 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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