抄録
症例は13歳男児。顔面浮腫,蛋白尿4+,低蛋白血症 (TP4.8g/dl,Alb2.3g/dl) があり,ネフローゼ症候群と診断された。ステロイド抵抗性のため腎生検を行い,巣状分節性糸球体硬化症 (FSGS) と診断した。ステロイドパルス療法 (1週×5) およびステロイド,シクロスポリン,リシノプリルにて不完全寛解となった。発症後7ヵ月より尿蛋白が増加し,ミゾリビンを追加したが,低蛋白血症,下腿浮腫を認め,再発したことから,血漿交換 (PEX) を施行した。PEX (3日/週) 開始とともに尿蛋白は減少し,3日で寛解した。PEXにステロイドパルス療法 (3日/週) を追加し,合計2週間行った。その後,寛解を維持している。本症例は薬物治療のみで不完全寛解となり,再発時にPEXを導入したことで速やかに寛解した。PEXやLDL吸着療法の適応や選択方法は明確ではないが,早期導入は効果的であった。FSGSによる合併症や多剤免疫抑制剤による副作用が懸念される場合には,早期にアフェレシス導入を考慮するべきである。