日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
ポリアクリロニトリル膜を使用した保存血プライミング回路におけるブラジキニンの動態
——保存血浄化法の検討——
佐々木 慎高田 彰石川 健千田 勝一
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2011 年 24 巻 1 号 p. 47-52

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抄録

 新生児の体外循環による持続的腎代替療法には保存血のプライミングが必要であるが,低容量の浄化器にはポリアクリロニトリル膜が使用されており,酸性条件下でブラジキニン (BK) が生成される可能性がある。本研究では国産ポリアクリロニトリル膜を使用して,BKの動態と保存血浄化法について検討した。保存血をプライミングした閉鎖回路において,非浄化時のBK (n=3) と,持続的血液透析 (CHD: 透析液流量2,000ml/時),持続的血液濾過 (CHF: 濾過流量500ml/時),持続的血液透析濾過 (CHDF: 透析液流量1,500ml/時,濾過流量500ml/時) による浄化時のBK,pH,重炭酸イオン,電解質,クエン酸 (n=6) を測定した。非浄化時のBK濃度はプライミング前後で42.6±12.4pg/ml (mean±SD) から145.0±9.5pg/mlへ有意に上昇した (p<0.01)。BKはCHDFで30分後にすべて100pg/ml未満となり,0分値を100%としたときの残存率はCHDFが等浄化量のCHDよりも10分後に有意に低値であった。そのほかの測定結果はCHDとCHDFが浄化量の少ないCHFよりも優っていた。新生児の保存血前処理におけるBKの除去には,CHDFが有用と考えられた。

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© 2011 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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