日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
メトトレキサート中毒に対し血液透析および血液吸着を施行した12歳男児例
—治療開始時期とMTX除去率—
澤田 真理子藤原 充弘島田 典明田中 紀子桑門 克治武田 修明浅野 健一郎福島 正樹新垣 義夫
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2011 年 24 巻 1 号 p. 74-80

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抄録

 メトトレキサート (methotrexate; MTX) 中毒に各種血液浄化療法が有効であると報告されている1)。MTX3g/m2の使用によりMTX中毒 (48時間値18.8μmol/l) および急性腎不全 (血清Cr値2.47mg/dl) を発症したBurkittリンパ腫の12歳男児に対し,血液透析 (hemodialysis; HD) 1回および血液吸着 (direct hemoperfusion; DHP) 2回を施行した。MTX血中濃度は速やかに低下し,合併症は見られなかった。MTXの除去率はHDで64.9%,DHPでそれぞれ72.2%,65.3%であった。血清Cr値が正常範囲に回復後,患児はMTX0.5g/m2の追加治療により完全寛解を得た。今回,血中濃度測定により,高容量MTX投与後のMTX中毒症を適切に診断し,早期にHDとDHPを行い,合併症なく回復することが出来た。血液浄化の導入時期およびモダリティ別MTX除去率を検討し,報告する。

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© 2011 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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