日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
小児特発性ネフローゼ症候群の病態における末梢血単核球内グランザイムB発現に関する検討
上田 博章秋岡 祐子本多 貴実子菅原 典子藤井 寛近本 裕子服部 元史
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2011 年 24 巻 2 号 p. 204-208

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抄録
 グランザイムB (GrB) は,パーフォリンとともに標的細胞に入りアポトーシスを起こすintracellulerな障害機序が報告されてきた。最近,パーフォリンを介さないGrBのextracellulerな障害機序が注目されている。今回,小児特発性ネフローゼ症候群の病態におけるGrBの関与について,ステロイド感受性NS (SSNS),ステロイド抵抗性NS (SRNS) における末梢血単核球中のCD3,CD4,CD8,CD19,CD56陽性細胞のGrB発現をフローサイトメトリーで検討した。その結果,SRNSはSSNSに比して,GrB陽性CD3陽性T細胞の比率が有意に高率であった。GrBのextracellularな障害機序として,ラミニンなどの細胞外基質を障害して細胞剥離を機序とした細胞死を導くとことが報告されていることから,SRNSの病態にT細胞におけるグランザイムBのextracellularな糸球体障害機序 (基底膜障害と引き続く内皮・上皮細胞剥離) が関与している可能性が推測された。
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© 2011 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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