症例は11歳男児。生後から右腎低形成を指摘されていたが,11歳時,感冒を契機に肉眼的血尿が出現した後,蛋白尿,血尿が3か月間持続した。膀胱鏡で左右尿管から採尿し同程度の血尿,蛋白尿を認めたため両腎に同様の腎疾患が存在すると推定した。左健側腎を開放腎生検しIgA腎症重症例と診断した。ステロイドパルス療法後,多剤併用療法を行い3か月後に蛋白尿は消失した。残存ネフロン数が減少した先天性腎疾患に後天性腎炎が合併すると急速に末期腎不全へ進行することがある。自験例はステロイドパルス療法など強力な治療によって腎機能を保持することができた。また,片側低形成腎では長期的に対側腎が過濾過になり糸球体硬化が進行し蛋白尿などの尿異常を呈することがある。そのため後天性腎疾患の合併がないか判断に苦慮することがある。片側低形成腎の腎生検の適応を決めるにあたり左右尿管からの採尿は有用であると考えた。