日本小児腎臓病学会雑誌
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26 巻 , 1 号
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原著
  • 喜瀬 智郎, 上原 正嗣, 譜久山 滋, 吉村 仁志
    2013 年 26 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
     小児期発症重症ループス腎炎にミコフェノール酸モフェチル(MMF)を投与し5年間有効性と安全性を観察した。2004年4月から2009年3月のループス腎炎初発例で腎生検にてWHO分類III(A)~IV(A)型と診断した10例にステロイドパルス療法を6または9回施行,終了後プレドニゾロンとMMFを開始した。MMFは1 g/m2/日で2年間投与後漸減中止した。パラメータとして血清補体価,尿蛋白クレアチニン比,尿素窒素,血清クレアチニン,血清アルブミン,抗二重鎖DNA抗体,経口ステロイド投与量を用いた。治療開始2年でパラメータは全て有意に改善し,2年後と最終検査時では悪化はなかった。10例中8例でMMFを中止し3例で再燃,2例は腎炎再燃,1例は臨床的再燃であった。2例はMMF減量中に血清学的再燃を呈した。再燃した5例中4例で怠薬があった。治療開始2年後MMF副作用はみられなかった。MMFは重症ループス腎炎の治療で有効かつ安全であり,さらに中止できる可能性が示唆された。
  • 石川 健, 武藤 秀和, 佐々木 慎, 古川 ひろみ, 高田 彰, 松本 敦, 千田 勝一, 石澤 毅士, 諏訪部 章
    2013 年 26 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
     溶血性尿毒症症候群(HUS)でurinary neutrophil gelatinase-associated lipocalin(uNGAL)を測定し,重症度と臨床経過との関連を検討した。対象:年齢2~3歳のHUS患児3例。方法:急性腎障害の重症度はpRIFLE criteriaに従い,血清クレアチニンと尿量から分類した。uNGALは免疫比濁法で測定した。結果:急性腎障害の最重症Fに分類された2例のうち,1例は無尿のため腹膜透析を必要とし,uNGALは高値(4,597 ng/ml)であった。もう1例のuNGALは低値(78.9 ng/ml)で水分管理で改善し,腎前性の関与が疑われた。軽症Rに分類された1例のuNGALはさらに低く(4.3 ng/ml),水分管理で改善した。結論:HUSの患児において,uNGALは血清クレアチニンによるpRIFLE criteriaで判別できない腎前性腎不全を判定できる可能性が示唆された。
総説
  • 安西 尚彦
    2013 年 26 巻 1 号 p. 14-19
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
     生体を構成する細胞の生存と機能維持にとって,細胞膜を介したイオンや有機物質の輸送は不可欠である。トランスポーターは,チャネルやレセプターとともに細胞膜に存在する膜タンパク質である。トランスポーターはチャネルとは異なり水路を持たず,輸送のたびに基質結合部位の向きを細胞内・外に一回ごとにスイッチ・リセットしながら物質の細胞膜透過を可能にする。1990年代の分子クローニングにより大きく進歩したトランスポーター研究であるが,未だに200近い遺伝子がその生理的機能の不明な(オーファン)ままであり,それらの役割解明は今後さらに原因不明の疾患の解明と新たな創薬の標的となることが予想される。現在もトランスポーター研究を続けている者の一人として,オーファントランスポーター遺伝子の機能解明から全身の制御を目指す腎尿細管トランスポーター研究の未来について私なりの提案をさせて頂きたい。
  • 本田 一穂
    2013 年 26 巻 1 号 p. 20-26
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
     従来の酸性・高ブドウ糖分解産物(GDP)腹膜透析液は,内皮細胞や中皮細胞に強い傷害を与え,除水不全や被嚢性腹膜硬化症などの合併症を引き起こした。その病態の基本は腹膜透過性の亢進である。腹膜透過性を律速段階的に制御している部位は毛細血管内皮層で,Cr やUN などの小分子物質は血管内皮面積により,血漿蛋白などの中・大分子物質は内皮細胞の結合性(integrity)やglycocalyx などによって透過性が制御されている。GDPなどの生体不適合因子は内皮細胞傷害や血管新生を介して腹膜透過性を亢進させている。最近の中性・低GDP 透析液は中皮細胞や内皮細胞を保護し,間質の線維化や変性,血管壁の肥厚を軽減させたが,腹膜血管密度はむしろ増加している。この増加した血管密度の成因や腹膜透過性に及ぼす影響については今後の検討を要する。腹膜透過性亢進のメカニズムと病態の理解は,PD 合併症のみならず,糖尿病や腎臓病など全身的病態の解明とその治療に役立つと考えられる。
  • 横山 貴, 菅原 典子, 服部 元史
    2013 年 26 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
     尿検査(尿定性,尿沈渣検査)は,各種腎炎,尿路感染症,尿路系腫瘍の診断,時に尿路以外で起きた疾患の把握もでき,臨床へ有用な情報を提供してくれる簡便かつ非侵襲的な検査である。特に尿沈渣検査では,糸球体型赤血球数と糸球体病変の程度との関係,ネフローゼ症候群(NS)における尿細管上皮細胞数と循環血液量および血管内脱水との関係,硝子円柱をはじめとした円柱類の排出数は腎機能との関係,卵円形脂肪体の排出数は尿蛋白量およびその期間との関係が考えられる。
  • 白柳 慶之, 山崎 雄一郎
    2013 年 26 巻 1 号 p. 33-42
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
     CAKUTは尿路における先天異常の総称で腎臓(e.g. 腎低形成,腎異形成),腎盂尿管(e.g. 水腎症,巨大尿管症),膀胱(e.g. 尿管瘤,膀胱尿管逆流(VUR)),尿道(e.g. 後部尿道弁(PUV))などの疾患を含む。胎児期に発見されるCAKUTは中枢神経系の異常に次いで多く,全出生の0.3~0.6%にのぼる。出生後早期にVCUGを行った方が良い病態は,1.膀胱の変形,壁の肥厚・巨大膀胱,PUVなどの閉塞性疾患,2.水腎水尿管を認める症例,3.両側性の上部尿路拡張症例,などである。
     99mTc DMSA腎シンチグラムは主にVURに対する分腎能や腎瘢痕の評価に適している。99mTc MAG3を用いたレノグラムは主に水腎症などの閉塞性尿路疾患に対して行われ,分腎機能と尿流通過状態を評価するために用いられる。
     本稿では具体例を挙げながら,CAKUTに対するVCUGと核医学検査について概説する。
  • 伊藤 秀一
    2013 年 26 巻 1 号 p. 43-51
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
     近年,分子標的療法はリウマチ性疾患や悪性腫瘍疾患への新たな治療法として急速に開発と臨床応用が進み,多くの疾患予後を劇的に改善させ始めた。腎臓疾患においても生物学的製剤を主とする分子標的療法がいくつかの疾患の治療に導入され始めている。代表例として,小児難治性ネフローゼ症候群,ANCA関連血管炎,膜性腎症へのリツキシマブ,非典型溶血性尿毒症症候群へのエクリズマブ,ループス腎炎へのベリムマブ等が挙げられる。また腎移植においてはバシリキシマブが拒絶反応の防止に,リツキシマブがABO不適合移植の脱感作療法に使用されている。今後,新たな分子標的療法が腎臓疾患の治療に続々と導入され,治療における大きなパラダイムシフトを迎える可能性が高い。しかし,その一方で従来の免疫抑制薬では経験しない致死的な副作用もあるため,使用に当たっては適応基準の設定が必要となるであろう。
  • 桑門 克治, 田中 紀子, 澤田 真理子, 藤原 充弘, 武田 修明
    2013 年 26 巻 1 号 p. 52-57
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
     学校検尿は慢性腎炎を原疾患とする小児期腎不全患者数の減少に寄与してきたが,岡山県27市町村の聞き取り調査で,倉敷市以外は学校検尿有所見者の事後措置に医師会の関与がないことが判明した。成人の透析導入者の原疾患として急速に増加している糖尿病性腎症や腎硬化症の予防のためには,2型糖尿病の発見のみならず,肥満や羸痩の児への介入や,中学・高校生に対する健康教育などが必要である。このためには,種々の領域の小児科専門医が共同して地域の園医・学校医を支援する組織と連携網を設け,成人のCKD対策地域連携システムと連結させるべきである。地方では小児腎臓病学会員のみならず小児科専門医も偏在しているので,県全域を支援する連携網でなければならない。医療等IDや高いセキュリティを備えた地域連携情報システムの導入は連携の充実と効率化につながるものと期待される。この仕組みによってさまざまな知見が蓄積されれば,疫学的解析に基づく保健・医療施策や長期予後の解析に基づく診療指針の策定も可能となるはずである。
  • 佐古 まゆみ
    2013 年 26 巻 1 号 p. 58-63
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
     研究者は,臨床研究に倫理性が求められる理由,臨床研究を行うための倫理要件を理解したうえで,臨床研究を計画し行うべきである。研究者として臨床研究の倫理性について考えることは,医療者としての倫理性を高めることにもつながると考える。倫理性が確保された臨床研究を行うための倫理要件として,ヘルシンキ宣言と米国NIH(National Institute of Health)のEmanuelらが2000年に発表した臨床研究倫理の7要件を紹介する。倫理性が確保された臨床研究とは,倫理的正当性,研究の社会的必要性,科学的妥当性がバランスよく担保されたものである。科学的妥当性を確保することが倫理的責務であることを強調したい。この点からもEmanuelらの研究倫理7要件を認識することは重要である。またインフォームド・コンセントや個人情報の保護,研究デザイン別の倫理的注意事項について述べる。
  • 長船 健二
    2013 年 26 巻 1 号 p. 64-69
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
     医学的および医療経済的な問題となっている慢性腎臓病(chronic kidney disease; CKD)の解決策の一つとして,iPS細胞(induced pluripotent stem cell,人工多能性幹細胞)を用いた腎臓再生医療の開発が期待されている。実験動物を用いた腎臓発生および腎構成細胞の運命決定機構を解明する研究も進展し,それらの知見に基づいたマウスES細胞(embryonic stem cell,胚性幹細胞)から腎臓系譜の細胞を分化誘導する多くの試みもなされてきた。筆者らは,最近,ヒトES/iPS細胞から腎臓を派生させる胎生組織である中間中胚葉を90%以上の高効率で分化誘導する方法を確立した。今後,ヒトES/iPS細胞由来の中間中胚葉から腎細胞への高効率の分化誘導法の開発により,細胞療法や難治性腎疾患に対する疾患モデル作製とそれを用いた治療法開発などの臨床応用を目指した研究への進展が期待される。
  • 森本 哲司
    2013 年 26 巻 1 号 p. 70-75
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
     腎臓は,水・電解質の調節機構の主役として,さまざまな生理的役割を果たしているが,胎生期は,その役割の多くの部分を胎盤が担っている。しかし,出生とともに著しい体外環境変化が生じるため,腎機能はこれにすばやく対応する必要がある。例えば,出生時の体表面積あたりの糸球体濾過率(GFR)は成人の20%,生後2週間で40%,生後2か月には50%となり,1~2歳ごろにほぼ成人レベルに達することが知られている。この急速なGFRの増加は1)出生後の腎血管抵抗低下,2)ネフロン数の増加,3)ネフロンサイズの増大によると考えられている。このGFRの増加に加え,離乳期にみられる尿濃縮力の成熟や水・電解質輸送の変化などが,体外環境への適応とともに成長と発達を保証するために腎臓内で起こる。本稿では,生後に起こるこれら腎機能(GFR,Na排泄能,尿濃縮機構など)の発達について概説する。
症例報告
  • 高田 彰, 古川 ひろみ, 鳥谷 由紀子, 松本 敦, 中辻 幸恵, 石川 健, 遠藤 幹也, 千田 勝一
    2013 年 26 巻 1 号 p. 77-81
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
     血液浄化装置の圧力モニタをライン式からエアフリーチャンバ式に変更したことで,回路内凝血が防止でき,回路寿命が延長した2小児例を経験した。症例1は生後2日のカルバミルリン酸合成酵素I欠損症。症例2は6歳の神経芽細胞腫。ライン式圧力モニタ搭載装置で持続的腎代替療法を開始したところ,両症例とも装置が突然停止し,モニタ回路内に凝血を認めた。エアフリーチャンバ式圧力モニタ搭載装置に変更した結果,両症例とも回路寿命が延長し,凝血を認めなかった。後者はモニタ回路内で血液と空気との接触面がなく,また,停滞や乱流を起こしにくいことが抗凝血に有利に働いたものと考えられた。
  • 林 麻子, 早坂 格, 鈴木 秀久, 小林 徳雄, 佐々木 聡
    2013 年 26 巻 1 号 p. 82-87
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
     漢方薬の関与が考えられた薬剤性膀胱炎の2例を経験した。症例1は6歳女児。原因不明の肉眼的血尿と頻尿にて当科受診,検尿にて高度蛋白尿が認められた。MRIを含む画像検査にて一部隆起性の膀胱壁肥厚,粘膜肥厚がみられ腫瘍性病変との鑑別を要した。症例2は11歳女児で,2か月間続く血尿と蛋白尿,無菌性膿尿のため当科紹介受診となった。超音波検査にて膀胱壁肥厚を認めた。症例1は柴胡加竜骨牡蠣湯エキスを約3年前から,症例2は温清飲を約1年前から内服しており,両者とも薬剤中止により膀胱炎症状が徐々に改善し,画像検査所見も正常化した。薬剤性膀胱炎は多彩な臨床症状を呈し得る疾患であり,時に画像検査上,腫瘍病変と類似した膀胱の形態異常を示すことがあり,その診断,治療に際して十分に留意すべきであると思われた。
  • 布山 正貴, 池田 裕一, 渡邊 常樹, 磯山 恵一
    2013 年 26 巻 1 号 p. 88-93
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
     症例は11歳男児。生後から右腎低形成を指摘されていたが,11歳時,感冒を契機に肉眼的血尿が出現した後,蛋白尿,血尿が3か月間持続した。膀胱鏡で左右尿管から採尿し同程度の血尿,蛋白尿を認めたため両腎に同様の腎疾患が存在すると推定した。左健側腎を開放腎生検しIgA腎症重症例と診断した。ステロイドパルス療法後,多剤併用療法を行い3か月後に蛋白尿は消失した。残存ネフロン数が減少した先天性腎疾患に後天性腎炎が合併すると急速に末期腎不全へ進行することがある。自験例はステロイドパルス療法など強力な治療によって腎機能を保持することができた。また,片側低形成腎では長期的に対側腎が過濾過になり糸球体硬化が進行し蛋白尿などの尿異常を呈することがある。そのため後天性腎疾患の合併がないか判断に苦慮することがある。片側低形成腎の腎生検の適応を決めるにあたり左右尿管からの採尿は有用であると考えた。
  • 杉本 哲, 森 潤, 森田 高史, 短田 浩一, 小松 博史, 中島 久和, 小坂 喜太郎
    2013 年 26 巻 1 号 p. 94-98
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
     症例は生後8か月の女児。哺乳不良と体重増加不良を主訴に当科を受診した。初診時,低ナトリウム血症,高カリウム血症,高レニン血症及び高アルドステロン血症を認めた。画像検査で右重複腎盂尿管を認め,腎尿路奇形に伴う続発性偽性低アルドステロン症(secPHA)と診断した。輸液治療と塩化ナトリウムの補充で神経学的後遺症なく軽快した。secPHAには心停止・痙攣・意識障害といった重篤な経過をたどる例も存在するが,適切な治療を行えば予後は良好である。低ナトリウム血症,高カリウム血症を呈する乳児については,本疾患を鑑別疾患の一つとして念頭に置くべきである。尿細管の未熟性に尿路奇形・尿路感染症が合併することで,ミネラロコルチコイド受容体や上皮性Naチャネルの機能低下が生じ,secPHAを発症すると考えられているが,分子生物学的な背景を含めて病態の詳細は不明であり,病態解明には更なる基礎研究の進歩が望まれる。
  • 大木 乃理子, 和田 尚弘, 北山 浩嗣, 山田 昌由, 鵜野 裕一, 田中 靖彦, 中澤 祐介, 佐藤 慶介
    2013 年 26 巻 1 号 p. 99-104
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
     エンドトキシン吸着療法(polymyxin-B immobilized column direct hemperfusion,以下PMX-DHP療法)は治療困難な敗血症性ショックの治療に広く用いられている。今回,超低出生体重児の胃破裂・敗血症性ショックにPMX-DHP療法を含めた集中治療を行い,救命し得たのでこれを報告する。症例は日齢20の男児。26週1日932 gで出生した。日齢20に消化管穿孔の診断で転院となった。同日緊急手術を施行したが,術後も頻脈と高IL-6血症を認めたためPMX-DHP療法と持続血液透析濾過(Continuous hemodiafiltration,以下CHDF)を導入した。PMX-DHP療法導入後より呼吸・循環の改善を認め,約60時間でCHDFも離脱した。低容量PMX-DHPカラムの開発により超低出生体重児においても同治療を安全に施行することが可能となってきた。エンドトキシン吸着療法の機序と適応について考察した。
  • 藤丸 季可, 菅 彩子, 中村 香絵, 岩見 裕子, 松村 寿子, 堀池 正樹, 原田 明佳, 田中 裕子, 中岡 達雄, 市場 博幸, 山 ...
    2013 年 26 巻 1 号 p. 105-109
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
     腹膜透析を施行した双胎間輸血症候群供血児の剖検腎組織所見を検討した。症例は,一絨毛膜双胎の一児胎内死亡の生存児で,超低出生体重児の双胎間輸血症候群供血児であった。日齢2,無尿やカリウム上昇のため腹膜透析を開始。日齢10に腸管穿孔のため透析が困難となったが,日齢20頃より緩徐に尿量が増加した。日齢34,無尿状態は脱していたが,腹腔内出血を合併し永眠された。剖検では,尿細管腔数の減少,糸球体の密集,糸球体毛細血管内にフィブリン血栓の充満像を認めた。双胎間輸血症候群による胎児期の慢性的な組織低灌流に伴うrenal tubular dysgenesisが潜在的にあり,さらに一児胎内死亡時に吻合血管から本症例の血液が死亡児へ急性に血流移動(acute feto-fetal hemorrhage)したため,貧血や低血圧などの虚血性変化がさらに進行し,腎虚血から不可逆的腎不全に至った可能性が示唆された。
  • 渡邊 祥二郎, 千葉 奈歩, 相澤 知美, 敦賀 和志, 伊藤 悦朗, 城 謙輔, 尾田 高志, 田中 完
    2013 年 26 巻 1 号 p. 110-115
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
     Periodic fever with aphthous stomatitis, pharyngitis and cervical adenitis(PFAPA)は,周期性発熱,アフタ性口内炎,頸部リンパ節炎,咽頭炎を主症状とし乳幼児期に発症する非遺伝性自己炎症性疾患である。溶連菌感染後急性糸球体腎炎(poststreptococcal acute glomerulonephritis; PSAGN)は一般的に保存療法のみで治癒する予後良好な疾患で,血液浄化療法を必要とする重症例はまれである。症例は7歳男児。平成23年2月,発熱・咽頭痛に対して急患診療所で抗生剤を投与され1日で解熱。約2週間後に発熱,嘔吐,乏尿,浮腫のため 総合病院へ入院となった。炎症反応陽性,低 Alb血症,高K血症,腎機能障害を認めたが, ASOの上昇はなく,急性胃腸炎,脱水症として補液を施行された。しかし高K血症と腎機能障害増悪,血尿・蛋白尿,低補体血症(C3 15 mg/dl)が判明し当科へ紹介入院となった。無尿,腎機能障害(BUN 84 mg/dl,Cre 2.93 mg/dl)のため,血液透析を10日間施行し尿量の増加とともに腎機能は改善した。抗 dsDNA抗体は陰性であり,臨床経過からも AGNが疑われた。腎生検では,典型的なびまん性管内増殖性糸球体腎炎像に加えて細胞侵潤を伴う軽度の間質性腎炎の所見が得られた。組織 nephritis-associated streptococcal plasmin receptor染色,plasmin活性染色陽性所見と併せてPSAGNと診断した。本症例の PSAGN重症化の背景にあるPFAPAの何らかの免疫調整異常が関与した可能性も否定できない。両者の合併により臨床経過が修飾された可能性もあり興味深い症例と考えられた。
  • 石塚 潤, 澤田 真理子, 桑門 克治, 好川 貴久, 吉永 大介, 田中 紀子, 藤原 充弘, 武田 修明
    2013 年 26 巻 1 号 p. 116-121
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
     超低出生体重児に対して腹膜透析を行ったという報告はあるが,腹膜透析の導入基準や安全性は確立されていない。今回,超低出生体重児の循環不全による急性腎不全に対して腹膜透析を施行したので,当院NICUで施行した腹膜透析19症例(1,000 g未満10症例)とともに報告する。症例は,在胎28週2日,655 gで出生した双胎間輸血症候群の供血児である。日齢11より肺障害に対し長期にステロイドを使用していた。日齢31の抜管後に,左室壁肥厚と僧帽弁逆流(以下,MR)を認め,循環不全による急性腎不全をきたした。腹膜透析を4日間施行し,MRは一過性で改善したが,再抜管後にMR・循環不全による急性腎不全をきたした。腹膜透析を再度48日間施行し,ステロイド中止後に抜管した際には循環不全を起こさなかった。1,000 g未満の児であっても2,000~3,000 g前後の児と同様に腹膜透析が有効な治療手段となると考えられた。
  • 伊達 慶一, 石原 正行, 菊地 広朗, 松本 学, 成瀬 桂史, 浜田 義文, 藤枝 幹也
    2013 年 26 巻 1 号 p. 122-125
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/10/15
    ジャーナル フリー
     症例は14歳男児。学校検尿で血尿蛋白尿を指摘され,精査で補体第4成分(C4)値の持続的低下を認めた。家族歴に特記事項はなく,身体所見も異常を認めなかった。C4値以外の血液検査所見,画像検査は異常を認めなかった。腎生検所見で多彩な病変を認め,ループス腎炎様の所見であった。ステロイドの投与により尿所見は改善し,外来経過観察中である。C4の低下は一般人口においてもみられるが,C4の完全欠損は全身性エリテマトーデスと密接な関係にあるといわれている。現時点では国内においてC4遺伝子検査が行えないため,今後も注意深い経過観察が必要である。
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