日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
小児尿路感染症に関する最近の考え方
木全 貴久辻 章志金子 一成
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2014 年 27 巻 2 号 p. 105-116

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抄録

小児の尿路感染症(UTI)は,一般的な感染症で,臨床的に上部UTI,下部UTI,無症候性細菌尿に大別される。乳幼児の上部UTI に対しては,しばしば適切な診断がなされないままに,抗菌薬が投与される。不適切な抗菌薬の投与は耐性菌を増加させ,高率に合併する膀胱尿管逆流現象(VUR)などの先天性腎尿路奇形の発見を妨げ,UTI の反復や腎の瘢痕化をきたし,腎不全に至ることもある。したがって私達小児科医は乳幼児の上部UTIを適切に診断し,管理する必要がある。発熱を呈する乳幼児において,感染巣が不明な場合には,UTI を念頭において抗菌薬投与前にカテーテル採尿を行い,KOVA slide 法で尿中細菌を確認することで診断率は向上する。上部UTI を起こした乳幼児にUTI を反復させないためには,基礎疾患(VUR や排尿異常)を発見することが重要で,そのためには排尿時膀胱尿道造影を施行し,高度VUR を認めた場合には最新のエビデンスに基づき抗菌薬の予防内服を行う必要がある。

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© 2014 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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