2016 年 29 巻 2 号 p. 161-165
小児特発性ネフローゼ症候群(以下NS)初発において,わが国では4 週間以上の入院治療が標準的だが,入院期間の妥当性を検討した研究はない。当院で初期治療し4 週間未満で退院した37 名のステロイド感受性NS の入院期間短縮化の妥当性,安全性を検討するため,高血圧症,高眼圧症,感染症などステロイド薬副作用,NS 合併症や体重推移を調べた。年齢中央値は4 歳(1~14 歳),寛解までの中央値は7日(4~15 日),退院までの中央値は16 日(10~25 日)であった。入院中に高血圧症で1 名に降圧薬を投与した。高眼圧症を認めた11 名中3 名は退院後に眼圧上昇したが,いずれも通院で対応できた。合併症で再入院した症例はなかった。体重は治療8 週間後に病前より1 割程度増加した。初期治療でも高血圧症,高眼圧症など合併症なく,退院後体重増加や感染症のリスク,服薬管理などの十分な教育と綿密な外来フォローが可能な場合にかぎり4 週間未満で退院可能と考える。