日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
Print ISSN : 0915-2245
ISSN-L : 0915-2245
症例報告
ネフローゼ症候群に対するリツキシマブ投与後の遅発性好中球減少における骨髄所見と末梢血CD20 細胞の検討
倉田 悟子田中 征治日吉 祐介荒木 潤一郎江﨑 拓也財津 亜友子小松 誠和久野 敏
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 33 巻 1 号 p. 51-57

詳細
抄録

リツキシマブ(RTX)の晩期合併症として遅発性好中球減少症(late-onset neutropenia: LON)が知られているが,ネフローゼ症候群においてその骨髄所見の報告はない.また,RTX 投与後のLON(R-LON)の発症機序も未知である.難治性ネフローゼ症候群に対しRTX 投与3 か月後にLON を来した症例に骨髄検査を施行した.その骨髄所見と末梢血CD20 細胞の推移よりR-LON の発症機序について考察した.症例は7 歳女児.難治性ネフローゼに対し,RTX(1 回375 mg/m2)を4 回投与した.最終投与の2 か月半後に発熱とGrade IV の無顆粒球症を認めた.骨髄検査では骨髄球系のみに分化停止所見がみられた.このときの末梢血CD20 細胞は0.05%であったが,1 か月後には1.5%となり,2 か月後には7%と正常化した.以上よりB 細胞回復直前にLON が発症したといえる.RTX 投与後はB 細胞回復前の白血球数,白血球分画に注意を払う必要がある.

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top