日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
学校検尿での尿潜血早期認知が適切な治療介入につながらなかった顕微鏡的多発血管炎の 1 例
塩穴 真一西山 慶糸長 伸能岩松 浩子大野 拓郎井上 敏郎
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2020 年 33 巻 2 号 p. 215-220

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抄録

【序言】学校検尿で潜血を指摘されていたが,末期腎不全で ANCA 関連腎炎の診断に至った症例を経験した.【症例】心合併症のない Williams 症候群の 14 歳女児.1 年 4 か月前に学校検尿で初めて尿潜血を指摘され,今回,発熱を契機に乏尿・浮腫,腎機能障害を指摘され入院した.尿蛋白 4+,尿潜血 3+,BUN 129 mg/dl,Cr 9.1 mg/dl.急速進行性糸球体腎炎による急性腎不全のため緊急透析を開始した.肺出血の合併を認め,MPO-ANCA 陽性,腎生検での pauci-immune 型半月体形成性糸球体腎炎の所見から顕微鏡的多発血管炎と診断した.ステロイドパルス,血漿交換療法,リツキシマブ投与により肺出血は改善し ANCA も陰転化したが,腎機能は回復せず維持透析導入となった.【考察】ANCA 関連腎炎は早期診断・治療開始が重要であり,検尿異常に対する ANCA の適切な測定時期について検討が必要である.

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© 2020 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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