日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
紫斑病性腎炎に対する多剤併用療法の 4 年予後
江角 祐香山本 かずな増田 俊樹一岡 聡子坂井 智行澤井 俊宏緒方 謙太郎丸尾 良浩
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2021 年 34 巻 2 号 p. 133-138

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抄録

小児の紫斑病性腎炎(Henoch-Schönlein purpura nephritis: HSPN)は治療介入基準や治療法に施設間差があり,治療前後の病理学的変化や長期予後は明らかでない.当科では HSPN に対して小児 IgA 腎症治療ガイドライン1.0 版に準じアザチオプリン(azathioprine: AZA)を用いた多剤併用療法を行っており,その中期的腎予後について後方視的に検討した.対象は計 8 名,治療開始時年齢は4 歳 9 か月~11 歳 2 か月(中央値 7 歳 0 か月)で,HSPN 発症から治療までの期間は 11~487 日(中央値 58 日)であった.多剤併用療法開始後 2 年以降に 8 例中 7 例で再生検を行った.治療開始後 4 年の時点で,治療前と比較して腎機能が低下した症例は認めず,尿蛋白/Cr 0.15~0.5 g/gCr が残存した症例は 2 例であった.2 年後の再生検で 3 例に慢性病変を認めたが,慢性病変と尿蛋白残存例との相関はなかった.当科における HSPN に対する AZA を用いた多剤併用療法は一定の治療効果があると思われた.

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© 2021 一般社団法人 日本小児腎臓病学会

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