2022 年 35 巻 1 号 p. 5-12
補体は,自然免疫(innate immunity)で重要な役割を担っている.特に21世紀に入り様々な役割が解明され,補体は免疫の中でも注目されるようになった.補体が,最近特に注目されている大きな理由として,C1インヒビターやC5中和抗体などの発見により,抗補体薬が実臨床で用いられるようになったことが挙げられる.このような背景の中,近年ますます補体から見た病態の解明が進んでいる.腎領域は,これまでも補体活性化による腎炎の発症進展,尿細管傷害進展への関与について様々な報告がある.近年,非典型溶血性尿毒症症候群やC3腎症といった病態に補体系の活性化や制御の異常の関与が明らかとなり,臨床医にとって補体が以前より身近な存在になってきた.ここでは,補体の関わる病態と補体関連の腎疾患の中でC3腎症に焦点を当てて,補体の面からその病態について最近の知見を交えながら概説する.