2024 年 37 巻 p. 33-38
小児腎尿路結石患者は,代謝異常を有する頻度が高いため,尿中代謝物の評価を行うことが推奨される.評価方法として24時間蓄尿検査が有用であるが,年少児では入院やカテーテル留置が必要となり,負担が大きい.単回24時間蓄尿検査が,背景に有する代謝異常の推定に有用か検討した.結石成分が判明しており,かつ蓄尿検査を行った9例を対象とした.Ca結石の7例中,蓄尿検査で高Ca尿症を2例,低クエン酸尿症,低Mg尿症を各1例で認めた.L-シスチン結石の2例はともに高シスチン尿症を認めた.蓄尿検査で同定された尿中代謝物異常が結石形成と関連した症例は,重複を含め9例中5例(56%)であった.一方,蓄尿で高シスチン尿症を認めた2例は,スポット尿すべてで高シスチン尿症を認めた.24時間蓄尿検査により代謝異常が推定可能な症例は約半数であり,十分ではなかった.スポット尿で代用可能な疾患もあるため,蓄尿検査は症例を選んで行うことが望ましい.