2024 年 37 巻 p. 151-158
【背景および目的】小児尿路感染症ガイドラインの多くが腹部超音波検査の施行を推奨し,異常所見の有無により管理方法が異なる.そこで我々は腹部超音波検査の有用性について検討した.【方法】2015年1月~2023年10月の間に当院に初回有熱性尿路感染症で入院した15歳以下の小児235人のうち,腹部超音波検査を施行した233人を対象とし後方視的に検討した.【結果】97人で腹部超音波検査の異常所見を認めたが膀胱尿管逆流との関連性について統計学的有意差はなかった.水腎症以外の所見に限定しても有意差はなかったが,大腸菌以外の起因菌の場合,膀胱尿管逆流の合併が有意に多かった.DMSA腎シンチグラフィを施行した202人では超音波検査所見と腎瘢痕に有意な関連はなかった.【結論】腹部超音波検査は低侵襲な検査であるが,排尿時膀胱尿道造影やDMSA腎シンチグラフィの適応基準とすることに関してはさらなる検討が必要である.