2024 年 37 巻 p. 39-43
腎臓は,中間中胚葉に由来する極めて複雑な臓器で,その発生と機能維持には多数の遺伝子が関与している.これらの遺伝子の異常が腎疾患の原因となりうるため,遺伝性腎疾患の種類は極めて多い.近年のゲノム解析技術の進歩にともなって多くの遺伝性腎疾患患者の診断が可能となり,新たな原因遺伝子も明らかとなった.腎疾患の診療においても,ゲノムデータを利用した医療(ゲノム医療)が推進されている.一方で,ゲノム医療の推進には遺伝カウンセリングを併せて行うことが推奨されており,腎臓専門医と臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラー®,基礎研究者など幅広い分野での協力体制を構築する必要がある.