2025 年 38 巻 論文ID: cr.24-026
症例は16歳,男子.2年前に全身性エリテマトーデス,ループス腎炎class IV-G(A)と診断した.メチルプレドニゾロンパルス療法,経口プレドニゾロン(PSL),ヒドロキシクロロキン(HCQ),ミコフェノール酸モフェチル(MMF)を併用し寛解に至るも,7か月後より治療を自己中断した.その1年後に発熱,全身浮腫をきたし当院を受診した.高血圧,腎機能障害,高度蛋白尿を認め,腎病理組織はclass IV-G(A)で血管極や係蹄内の血栓,フィブリノイド壊死が認められた.溶血性貧血の所見はなかったが,血栓性微小血管障害症,つまり抗リン脂質抗体症候群腎症(APSN)に特徴的な所見であった.PSLを開始,メチルプレドニゾロンパルス療法3クールを施行した.寛解維持のためHCQ, MMFも追加し,再発後約1年半が経過した現在も内服継続中である.本症例では腎機能障害が遷延しており,慢性腎臓病への移行が懸念される.