【背景および目的】2014年に日本人小児のシスタチンC(cysC)に基づく糸球体濾過量推算式(eGFR[cysC-eGFR])を,イヌリンクリアランスをゴールドスタンダードとして作成した.最近この式が糸球体濾過量(GFR)を過大評価するという報告があり,妥当性について作成時を振り返って考察した.【方法】cysC-eGFRを作成したA社に他3社を加えて,標準化前のcysC値に標準化係数を乗じたものを使用して作成した4つのeGFRを比較した.【結果】この4つの推算式は決して一致しているとは言えなかった.A社の標準化係数の妥当性は過去に示している.現在わが国で使用しているeGFR=104.1/cysC−7.80の妥当性については,2012年から2016年にわが国の小児慢性腎臓病(CKD)研究グループの施設から集められたデータでクレアチニンに基づくeGFRと同等であることを示している.【結論】最近のcysC-eGFRのGFR過大評価は2017年以降の問題であると考えられ,これらを今後検討する必要がある.