日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
日本人小児の推定糸球体濾過量はCrから算出される値が実測糸球体濾過量と最も近似する
寺野 千香子 上村 治佐田 惇政岡 凌秋山 希吉兼 正宗川向 永記田中 一樹藤田 直也
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2025 年 38 巻 論文ID: oa.24-030

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抄録

背景・目的:本邦では小児の腎機能評価としてクレアチニン(Cr),シスタチンC(CysC),β2ミクログロブリン(β2MG)-推算糸球体濾過量(eGFR)が頻用されるが,近年各々のeGFR値間に乖離を認める症例を経験する.方法:イヌリンクリアランス検査(Cin)による実測糸球体濾過量(mGFR)とCr, CysC, β2MG, 24時間クレアチニンクリアランス(CCr)-eGFRの整合性について検討した.結果:対象は当院でCin検査を実施した生後3か月~18歳の慢性腎臓病(CKD)患者120例で各検査の平均値(ml/min/1.73 m2)はmGFR 63.5±32.6, Cr-eGFR 63.3±26.2, CysC-eGFR 68.8±28.3, β2MG-eGFR 87.3±40.5, CCr-eGFR 57.4±26.9であった.結論:mGFRを基準とした場合最も妥当性,信頼性が高い推算法はCr-eGFRであった.Cr-eGFRと比較しCysC-eGFRはやや高く,β2MG-eGFRは非常に高く算出されており,腎機能評価時には注意が必要である.

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© 2025 一般社団法人日本小児腎臓病学会

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