2025 年 38 巻 論文ID: rv.24-036
九州学校検診協議会は,2004年に九州学校腎臓病検診マニュアルを作成し,九州各県で普及してきた.近年,小児慢性腎臓病の原因の多くが先天性腎尿路異常(CAKUT)となり,学校検尿ではCAKUTを含めたスクリーニングが全国で提唱された.九州も地域に合わせて尿中β2ミクログロブリン/尿クレアチニン比,超音波検査が導入できるように,マニュアルを第5版に改訂した.特に超音波検査は専門ではない医療者への啓発が必要であり,簡単な超音波マニュアルや動画の教材を作成した.約20年間にわたる九州学校検診協議会の歴史を紹介し,毎年公表している集計結果やIgA腎症の発見契機における学校検尿の役割など活動内容を解説する.Personal Health Record(PHR)導入をはじめ学校保健が進歩していく中で,九州学校検診協議会は学校検尿の成果や重要性を発信できるようさまざまな情報を活用し,今後も展開させる必要がある.