日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
加齢によるラット腎糸球体基底膜陰性荷電の変化
—PEI浸透法と静注法の比較検討—
小野 祐子上田 善彦飯高 和成
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キーワード: 陰性荷電, GBM, PEI, 加齢, ラット
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1992 年 5 巻 1 号 p. 70-75

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抄録

 加齢による,ラット腎糸球体基底膜 (GBM) の陰性荷電の変化について,半定量的に検索を行った。cationic probeには,polyethyleneimine (PEI) を用い浸透法・静注法にてその違いを比較検討した。
 方法として生後2週,1,3,6,12,18ヵ月齢のSprague-Dawley雄ラットを用い外透明層,内透明層,GBM全体 (外透明層・内透明層・緻密層) を計測した。また,各々の検索対象領域を末梢部・基部・傍メサンギウム部にわけた検討を行った。
 結果として,2週齢から1ヵ月齢にかけての若いラットでは,PEI顆粒数の変化に一定の傾向はみられなかった。しかし,3ヵ月齢以降18ヵ月齢までいずれの領域においても加齢により両方法で顆粒数の有意な減少を認めた。また,18ヵ月齢では,GBMの肥厚とともに,緻密層にみられるPEI顆粒数の増加が観察された。浸透法と静注法の比較では,同様の傾向を示す数値の変動を認めた。

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© 1992 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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