1992 年 5 巻 1 号 p. 76-82
慢性腎疾患患児47例の骨塩量を二重エネルギーX線吸収測定法 (DEXA) を用い測定し,以下の結果を得た。
(1) 腎機能低下群,長期のステロイド剤 (以下ス剤) 内服群に低下例があり,著明な成長障害を伴っていた。腎機能正常でス剤非内服群には低下例は認めなかった。
(2) ス剤投与時の腰椎,橈骨の骨塩量変化には差があり,橈骨でより少なかった。
(3) 腰椎骨塩量は,ス剤60mg/m2体表面積の4週間連日投与後に低下し,7か月間の漸減中には有意な増加がなく,20mg/m2以下の隔日投与に減量後,増加した。
(4) ス剤の長期漸減法は骨塩量の低下が長期におよび,活性化ビタミンD (1αOHD3, 0.03μg/kg/日) の投与はこれを防止できなかった。
(5) ス剤のパルス療法は治療長期化が予測される例では,骨塩量の減少の点からは有効な方法と考えられた。