日本小児腎臓病学会雑誌
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—原著—
Henoch-Schönlein紫斑病での血中第 XIII因子活性の経時的変動と腎炎発症との関連
平泉 泰久近藤 富雄浅野 純一藤井 秀比古山崎 松孝
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1994 年 7 巻 2 号 p. 229-232

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抄録
 血管性紫斑病 (Henoch-Schönlein Purpura,HSP) 患児39例で,急性期より経時的に血中第XIII因子活性を測定し,以下の結果を得た。
 1) 血中第XIII因子活性は,HSP急性期に有意に低値を示し,回復期には正常化した。
 2) 急性期の血中第XIII因子活性値は,腎炎発症例で23.7±8.6%,腎炎非発症例で47.6±16.1%であり,腎炎発症例で有意に低値を示した。
 3) 腎炎発症は39例中12例 (30.8%) に認められた。HSP発症2週間以内に血中第XIII因子活性が正常化した18例では,一過性尿異常が2例 (11.1%) にみられたのみであった。しかし正常化が遷延したり,再低下した21例では,腎炎発症が10例 (47.6%) と高頻度にみられ,腎炎重症例が9例で大部分を占めた。
 4) HSP急性期の血中第XIII因子活性低値例(特に30%以下),活性正常化遷延例,活性再低下例と腎炎発症との関連が強いと考えられた。
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© 1994 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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