1994 年 7 巻 2 号 p. 233-238
パルス療法を含むステロイド剤や各種の免疫抑制剤にコントロールが不良となり,サイクロフォスファマイド静注療法が施行されたが不応性であった,びまん性ループス腎炎2症例に対し,血漿交換・サイ クロフォスファマイド静注併用療法を試みた。開始後2カ月頃より,血清補体価の上昇や赤沈値の改善とともに,蛋白尿の減少が認められた。また,腎機能も維持された。サイクロフォスファマイド静注療法のみでは,症状の改善が得られなかった症例が,この2つの組み合わせにより,サイクロフォスファマイドに対する反応性を再獲得できた。しかし,本療法の使用経験はまだ浅く,また精腺障害や白血病を含めた悪性腫瘍などの発生も懸念され,対象となる症例の厳密な選択が必要であると考えられた。