1996 年 9 巻 2 号 p. 145-152
小児lgA腎症の186例 (男女比105/81,平均年齢12.3±2.7歳,平均観察期間19.8±4.7年) の腎不全あるいは腎死に至る予後因子をCoxの比例ハザードモデルを用いて多変量解析した。経過中の高血圧,腎不全時高血圧,糸球体硬化度 (40%以上) および3+以上の高度蛋白尿が小児IgA腎症の予後増悪因子として検出された。逆に尿細管間質障害や血管変化は糸球体障害との相関性から独立した予後増悪因子とはならなかった。キャリーオーバーに関係する因子としては生検時年齢が唯一の因子であった。すなわち従来考えられていた腎機能の増悪とは全く関係なかった。キャリーオーバーする/しないを検討することは,腎不全/腎死に対する予後因子を調べることにはならない。