日本小児腎臓病学会雑誌
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—原著—
シクロスポリン投与による骨密度と骨代謝マーカーの変化
宿谷 明紀村松 康男赤司 俊二臼井 信男
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1996 年 9 巻 2 号 p. 196-200

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抄録

 ステロイド (ス剤) を長期投与した小児ネフローゼ症候群患児20例 (男14例,女6例,2~17歳) において,シクロスポリン (CyA) 投与開始時期のス剤投与方法により対象を2組にわけて,骨密度と骨代謝マーカーの変化について検討した。対象1では,CyA投与群と非投与群を比較した。海綿骨骨密度はス剤隔日時には,CyA非投与群が増加傾向にあるのに対し,投与群で低下傾向にあった。骨代謝マーカーは隔日時には,CyA非投与群がス剤投与前値に復したのに対し,投与群ではス剤投与前より亢進していた。対象2では,CyA投与前後の値を比較した。開始後の海綿骨骨密度は有意にCyA開始前より低下し,骨代謝マーカーはCyA開始前より開始後が亢進していた。以上,CyA投与により骨代謝マーカーは亢進し,海綿骨骨密度が低下した。今後,ス剤およびCyA併用時には,より一層骨量減少に注意する必要があると考えられた。

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© 1996 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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