日本小児腎臓病学会雑誌
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急性巣状細菌性腎炎における臨床像とリスクの検討
長谷川 慶中川 知亮本山 治濱崎 祐子宍戸 清一郎
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論文ID: oa.2015.0084

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抄録
急性巣状細菌性腎炎(acute focal bacterial nephritis: AFBN)はRosenfield らにより提唱された疾患概念で,腎盂腎炎との臨床的差異に注目すべき点が多い。今回AFBN 11 例の中期的予後を含めた臨床像とリスクについて検討した。全例発熱で発症,膿尿は4 例で認めず,尿培養は3 例で陰性だった。超音波検査上でAFBN の特徴とされる腎腫大は1 例,明らかな腫瘤像は4 例が指摘された。本検討のAFBN に対する超音波検査の偽陰性率は45%と高く,造影CT は現在でも確定診断に必要と考えられた。 99mTc-DMSA を施行した5 例中4 例で核種取り込み低下を認め,voiding cystourethrogram(VCUG)では8 例中5 例で膀胱尿管逆流を認めた。Bladder and bowel dysfunction(BBD)やHutch 憩室,後部尿道狭窄を指摘された2 例にbreak through infection(BTI)を認め再発のリスクとなることが示唆された。過去のAFBN 複数例の報告ではBTI が13~67%に見られたが,本検討では観察期間中にCKD stage 3 以上の腎機能障害を全例認めなかったこと,最終観察時に9 例にBTI を認めないことから,AFBN は中期的には予後良好と考えられた。
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© 2016 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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