抄録
小児のいびきを伴う呼吸器疾患における睡眠時無呼吸について, 客観的な評価を行った。対象は, いびきを主訴とする小児24名 (扁桃肥大, およびアデノイド肥大+扁桃肥大14名, アレルギー性鼻炎10名) 。睡眠時無呼吸の評価はマイクロスリープモデル97 (日本ユーロテック社) を使用した。自然睡眠にて体位, 呼吸音, 鼻口での呼吸, 胸郭での呼吸, 酸素飽和度, 心拍のモニターを患児に装着して観察した。睡眠時無呼吸の指標としてapnea-hypopnea index (AHI;無呼吸指数) と無呼吸, 低呼吸の総出現回数に注目した。同年齢の比較対象として, いびきの主訴がなく, 扁桃肥大, アデノイド肥大, アレルギー性鼻炎の認められない小児10名を同様に測定した。結果として, 扁桃肥大群, アレルギー性鼻炎群で認められた無呼吸, 低呼吸はほとんどが閉塞性のもので, 扁桃肥大群ではAHIが15.0以上のものが多く, アレルギー性鼻炎群と比べAHIは有意に高値を示した.扁桃肥大群の中で扁桃摘出手術を行った4名においては, 術前と比較し術後のAHIに著明な改善が認められた。小児のアレルギー性鼻炎の睡眠時無呼吸は比較的軽度であるが, アデノイド肥大, 扁桃肥大の症例では手術適応となる症例があり, AHIはその適応基準を考える上でも重要であると思われた。