抄録
下気道感染急性期にChlamydia pmumoniae (C. pneumoniae) 特異IgM抗体が陽性であり, C. pneumoniae急性感染症と考えられた小児を対象として, C. pneumoniae特異IgG, IgA抗体価の変化を後方視的に調査した。対象となったのは10ケ月から12歳7ケ月まで (平均年齢4.1±3.0歳) の小児66例であった。抗体価測定にはC. pneumoniae YK-41株の基本小体から精製した外膜複合体を抗原としたELISA法を用いた。2週間以上の間隔で採取した血清で急性感染確診の診断基準を満たす特異IgG, IgA抗体価の変化を示した症例はなかった。また, 4~10週の間隔で3回目以降の抗体測定を行った症例においても有意な抗体価上昇は認められなかった。現在一般化している特異IgG, IgA抗体価のみの測定では, 多くのC. pmumoniae感染児を見逃す可能性があり, 検査結果の評価の際に注意が必要である。