抄録
: 非侵襲的換気療法 (Non-Invasive Ventilation: NIV) は, 気管切開や気管内挿管を行わずに人工換気を行う方法であり, 小児科領域では特に神経筋疾患に伴う呼吸障害や重症心身障害児の呼吸障害に対して使用されることが多い.従来安定期に使用されることが多かったが, 最近では呼吸不全の急性期や肺炎などの合併に際して使用されるようになりつつある.今回我々は新潟市民病院小児科においてNIVを施行した重症心身障害児8例について検討を行った.8例中, 呼吸障害の急性期にNIVを導入した症例が7例であったが, 全例で気管内挿管を回避することが可能であった.NIVは呼吸器感染の合併や呼吸不全の急性憎悪時などに際しても十分有効であり, 気管内挿管を行う前に積極的に試みる価値があると考えられた.また効果の判定には, 短時間の血液ガス所見よりも, 臨床症状の改善が重要であると考えられた.