日本小児呼吸器疾患学会雑誌
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序論: golden standardによる原因菌全国調査成績
上原 すゞ子
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2003 年 14 巻 2 号 p. 172-177

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抄録
2000年3月, 日本呼吸器学会から「成人市中肺炎診療の基本的考え方」が公表され, 小児でも検討の必要性を感じた。2002年3月には「成人院内肺炎診療の基本的考え方」も作成された。序論としてまず, 成人市中肺炎ガイドラインについて概説した。小児でもガイドラインはエビデンスに基づくべきであるが, 肺炎の病原診断は最も難問である。golden standardである血液, 胸水, 肺組織から細菌が検出された細菌性肺炎の全国調査を小児科認定医研修施設等の協力で行ってきた。
初回 (1984-86) には該当する症例数は137のみで2回め以後の調査でも僅少であった。初回の調査ではS. aureus>S. pneumoniae>H. influenzaeが3大原因菌であった。2回目 (1993-84) 以降の調査では, S. aureusは激減しS. pneumoniae>H. influenzaeが2大原因菌であり, この傾向は最近まで続いている。治療前の血液培養, 抗原検索に加え, 成人と同様に喀痰培養を普及させたい。本シンポジウムが肺炎の原因微生物の適正な把握を通して適切な治療への基盤になることを期待している。
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